FORMOSA900 FORMOSA900参加者の感想
FORMOSA900参加者の感想
飯田 達也さん
プロローグ
出発前に台風がずっと台湾付近に居座っていて、「ほんとに飛行機出るの?」「台湾に着いてもコースは大丈夫なの?」と思いつつ、自転車をダンボールに梱包し、スーツケースに着替えを入れながら行けることを願っていました。メンバーも同じ想いだったようで、その願いは通じました。出発当日は県庁に3時45分に集合。朝も早く、大雨だったにもかかわらず、昨年のFORMOSA900に参加した窪田三思さん、久藤夫妻が来てくれました。感謝、感謝!そして、広島空港で今治出発組と初顔合わせをして、EHIMEサイクリングプロモーション隊10名出発!
台湾一周ライド、観光
今回、台湾一周ライドはもちろんのこと、観光も楽しみにしていました。前回のFORMOSA900より渡航日数が1日短くなったこともあり、観光するところが減るのかなと思いましたが、途中エイドで立ち寄る場所が観光地であったり、ライド中も台湾の雄大な景色や賑う街の様子、緑豊かな自然などを満喫することができました。
前半は台湾の西側を北から南へと走行しましたが、遠浅の海岸には数え切れないくらいの風車が海上にあり、日本にない圧巻の景色で、香山湿地では人工的に作った海の上の歩道を歩いたり、清海宮や順安宮のようなきらびやかな寺院をいくつも廻ったり、いま東温市の利楽で劇場中「KANO」の舞台となった嘉義に立ち寄ったり、恒春では朝早く起きて城塀や城門を見たりしました。特に前半のコースでGIANT本社に寄れるのを楽しみの一つにしていましたが、本社ビルの巨大さに圧倒されたのと同時に、そこで出された一人一個の完熟マンゴーやケーキなどのおもてなしに感動しました。少し前に「もう食べれん」と言いながら昼食を食べてたにもかかわらず、皆さんしっかりおもてなしを頂いていました(笑)そして、西側ルートの最終日では海沿いのコースということもあり、夕日を横目にホテルまでトレインを組んで快走。走る方向の左には切り立った山、右には穏やかな海、そして走りやすい道、とても綺麗でいまも脳裏に焼きついています。
台湾一周のほとんどは平坦基調でしたが、台湾を南に下り、西側から東側にでるところはダムや峠があり、そこではメンバーとヒルクライム、ダウンヒルを楽しみました。隊の中でも早い、遅いはありますが、FORMOSA900に参加する70代のメンバーも最後までしっかりと登り切っていてました(拍手)
峠の途中、地元の人々が民族衣装を着てダンスを踊ったりと運動会をしていました。あとで調べると昔、台湾南東部に漂着した宮古島民54人が台湾原住民(先住民)族パイワン族に殺害されたのを受け、1874年に日本軍が南部に侵攻し、恒春半島一帯で約半年間にわたり占領体制を敷いた牡丹社事件の150周年イベントだったようです。いまは当然、和解はしているものの近くには日本軍との激戦を行った古戦場跡のような歴史を残すところもあり、そのイベント当日に日本人が立ち寄って現地の方々はどう思ったのだろうと複雑な思いです。台湾には日本統治時代の名残りもあり、もっと台湾のことを知らないといけないなと思いました。
そして、台湾の東側に出ると、北からの向かい風に変わりました。しかも強風が吹く海岸線のコースでは、トレインを組み一団となって走りましたが、景色を見ると室戸岬や足摺岬を走っている感覚になりました。後半の東側のコースでは一日の走行距離も少なくなり、映えスポットに多く立寄り、廃線を利用した真っ直ぐ続く關山鎮月眉自行車道(サイクリングロード)や俳優の金城武さんが某航空会社のテレビコマーシャルで撮影した金城武の木、伯郎大道、大きな川の真ん中にあるアジアプレートとフィリピンプレートの境界線、北回帰線、大農大富平地森林公園にある森のサイクリングロード、太魯閣渓谷、鉄道跡を利用した鉄馬隧道(サイクリングトンネル)、ランタンで有名な十分など多くの観光地に立寄りました。伯郎大道では、自転車や電気のカート自動車、歩行者しか通れない一本道で、道と田んぼ、空しかないこの場所でテンション爆上がりで多くの写真を撮りました。太魯閣渓谷では少し前に大規模な地震があった爪痕も多く残っていましたが、ダイナミックな渓谷に圧倒され、「いつかはここを登ってみたいですよね」とメンバーと話しました。
そして台湾といえば、十份のランタン。しっかりと願いを書いて、ランタンは空高く舞い上がっていきました。そのあと線路に降り記念撮影を撮っていたら、鉄道がやってきて目の前をスレスレで通っていきビックリ。十份を満喫し、台北市に近づくにつれて、台湾一周が終わるのとメンバーとのお別れになんか悲しい気持ちになりましたが、松山駅ではメンバーと一緒にゴールして、記念写真を撮ったり、スタッフへの感謝を伝えたりしました。そして、夜会ではスタッフが用意してくれた旅の動画を見て盛り上がり、台湾一周の思い出を回想したりしました。そのあとには台北市の士林夜市に行き、買い物をしたり、屋台を見て回ったりと最終日まで台湾を満喫しました。台湾は本当に面白かったです。
今回の台湾一周980kmでは、大都市から地方都市までを走ったことで、観光地だけでなく、普段通ることのないだろうという生活の一部も走ることができて、ライドも観光も最高!
食事
今回の楽しみのひとつに台湾中華がありました。台湾に到着し、その日の夜から帰途に着くまで台湾中華三昧。しかも、「量が少ないとは言わせないぞ」と言わんばかりの品数と量に毎回お腹いっぱい。地元人気店をチョイスしてもらっていることもあり、小籠包や海鮮、鴨肉、鶏肉、豚肉、水餃子、炒飯、台湾かき氷、謎のスープ、謎の炒め物(笑)などどれも美味しく飽きることがありませんでした。そして、毎晩のようにメンバーとその日走りきった喜びを台湾ビールで乾杯!そのおかげで、体力も維持でき、無事に完走できたのかと思います。でも、悲しいかな、こんなに走ったにもかかわらず、体重は増えてました(笑)
愛媛隊と愉快な仲間たち
EHIMEサイクリングプロモーション隊が揃ったのは広島空港で、日本騎士團が揃ったは台湾のホテルの会議室でした。自分もメンバーも期待と不安、緊張が入り混じり、「初めまして」と声をかけて、一人一人の顔と名前を覚えていきました。でも、その夜の宴会で小籠包を食べ、酒を酌み交わしながら、すぐに打ち解けていったのを覚えています。
ライド中の何気ない会話、エイドに立ち寄ると自然と輪になっての談笑と最後まで話は尽きることがなく、本当に楽しく過ごせました。皆さん、自転車経験も豊富で自転車の話はもちろん、出身地の話で盛り上がったりもしました。
今回、西条市の小澤さんと同室で、歳も近いこともあり、ライドも宿泊も一緒でした。10日間24時間共に濃い時間を過ごし、あまりに仲良くやっていたので、他のメンバーから「濃い時間じゃなく、恋時間を過ごしてるね」とチャカされたこともありました(笑)二人部屋だと、夜会の集合時間までにシャワーや洗濯とやる事がたくさんあり、バタバタすることもありましたが、来年FORMOSAに参加しようと考えている方は同室おすすめです。
そして、メンバーと台南市のBARに行って地元の女性歌手とアニソンや宇多田ヒカルなどの日本の歌を一緒に歌い盛り上がったり、台北市にある士林夜市に行って胡椒餅やタピオカドリンクを味わったりと、走り終えても台湾観光を満喫できました。また、いつかこのメンバーで台湾に行きたいと思える最高の仲間でした。
スタッフのみなさんのサポート
GIANT JAPAN 、GIANT ADVENTURE、JCGAのサポートの人たちはコースの先導、エイドでの補給、写真撮影、メカトラの対応、サポートカーの運転、荷物の運搬、盛り上げ役など一人何役もこなし、昼夜問わず動いていて、自分たちはこの人たちに手厚くサポートされていたからこそ、台湾一周ができたんだと思います。走行中は1時間程度、場所によっては25kmくらいで一回の補給タイムがあり、そこで出されるバナナ(どんだけ食べたか分からないくらい食べました)や地元のフルーツ、お菓子、スムージーなどを片手に皆んなと談笑。初日は休憩が多いかなって思いましたが、参加者のレベルの違いもあったり、走行中はあまり話せない人とも話せることができたので、休憩が多くてよかったのかなといまは思います。そして、各班の先頭に着くサポートの人たちは強風が吹いても先頭交代もなく引き続ける姿と、参加者の安全第一を考えての誘導には脱ヘルメットじゃなく脱帽です(謝謝)
エピソード
初日、補給タイム中に景勝地を見ようと一人で脇路に入り写真を撮り、自転車に跨ると同時に車庫から唸り声をあげた犬が急に出て来て追いかけられました。狩りをしているかのように迫ってくる犬、「ヤバい、噛まれる。噛まれたら台湾一周終わる!」と思い、後ろを振り返る余裕もなく、必死の思いでスプリント!そして、難なく逃れることができました。しかし、その必死たる形相を隊のメンバーに見られ大ウケされ、昼食で他の人に話してまた大ウケ(爆笑)けれど、この一件で皆さんと仲良く慣れた気がします。
台湾では、実際に放し飼いで飼ってる犬を多く見ました。しかもほぼ黒犬ばっかりで、あまりに放し飼いが多く、通りを走行するときは、日本で聞くことがない「前方犬注意」「右側から犬」「犬走行注意」など声掛けしてみんな盛り上がってました(笑)
交通、道路事情
台湾の幹線道路は自転車が並走しても余裕があるくらい広い自転車・バイクレーンが引かれていてどこも走りやすかったです。逆に平日の通勤や帰宅時の市街地は、バイクと自動車がごった返しで、右側走行ということもあり、左側後方からのバイクのすり抜けに気をつかうので、少し慣れるまでは難しく感じました。
走ってみて、日本と大きく違ったのが3点ありました。1点目が、ほとんどの信号に青信号までのカウントダウンの数字が出ている点です。信号待ちのイライラ軽減と遠くから赤信号をみてスピード調整をしながら走れる利点があり、日本にも取付けて欲しいと感じました。
2点目は、日本のような歩道がない点です。市街地には建物の2階部分が張り出した下がアーケードのようになっており、そこが歩道(ここは段差があって歩きにくかったですが…)になっているのですが、少し郊外にでると日本みたいな歩道をつくっていません。日本だと市街地でも郊外でも歩道を道路より一段高い所につくっていて、道路と交差するときにはそれが段差となり、歩行者や身障者などの通行の弊害になっているところもあると思いますが、バイク・自転車、歩行者レーンともラインが引いているだけなので段差がなく、バリアフリーになっていて感心しました。しかも、自転車レーン側には側溝やグレーチングがほとんどないので滑る心配もなく、道路環境の整備方針が台湾と日本で違うのだと感じました。
3点目は、交差点での信号待ちの時は自動車の先頭でバイクと一緒に待機できるエリアがあり、自動車をすり抜けて列の一番前に出れるので、自動車のと接触もないし、バイク大国とはいえ弱者優先のルールが徹底されているのとだと感心しました。それとは別に2段階左折の待機場所もありました。
その他に河川敷にある多目的トイレは自転車を中に入れていいというサインもあり、文化の違いがあって面白かったです。900km以上走行して「自転車邪魔だぁ」というクラクションを聞いたことがなく、自転車文化国のマナーの凄さを感じました。また、新城駅から羅東駅までは落石の多い道を通るため多くのサイクリストが列車を使って移動するのですが、自転車もそのまま載せれて、日本のように固定バンドとかも言われず楽に乗車でき、台湾文化の一部に触れることができました。
エピローグ
今回、到着直前まで台湾の南東に居続けた大型台風で高雄市では作物が倒れ、樹木が折れたり、交通標識が曲がっていたり、今春に地震被害にあった崖崩れを移動中の列車から見たりしました。本当にこのFORMOSA900が無事に開催され、完走できたこと、心から感謝申し上げます。そして、ライド中には、車の窓を開けて「加油(ジャヨウ)」「頑張って」との台湾の方々の応援が多くあり、嬉しかったことを覚えています。
今回、EHIMEサイクリングプロモーション隊としてFORMOSA900に参加してみて、去年に参加したメンバーが「帰りたくない」「また台湾に行きたい」と感じた気持ちがいまは分かります。一人で参加しても、同じ趣味を持つもの同士、すぐに打ち解け、走りやすい環境、美味しい食事、素晴らしいスタッフやメンバーなど、心から楽しめました。
来年、FORMOSA900に参加しようと考えている方は、「絶対、台湾にGO!」あなたの自転車ライフにプラスとなること間違いなしです!
強風に負けない日本騎士團
真っ直ぐに続く伯郎大道にてテンション爆上がり どこまでも続く、走りやすい幹線道路