FORMOSA900 FORMOSA900参加者の感想
FORMOSA900参加者の感想
上甲 俊史さん
私は、サイクリングが、一部の人がする競技など特別なスポーツではなく、生活に溶け込んだスポーツになることが自転車新文化の目指す方向であり、そのためにはサイクリング人口の増加が必須であると考えています。しかし、現状は、サイクリストが坂であったり、長距離であったり、よりハードな方向に向かう一方で、新たにサイクリングを始める層の増加が停滞し、サイクリング人口が伸び悩んでいる状態にあるように思います。
台湾ではサイクリングが盛んで市民に根付いているということで、今回の台湾一周はその伸び悩みの解決策を見出すための先進地視察と思って参加しました。
サイクリング人口を増やすための一つ目は、自転車が走りやすい環境の整備です。
台湾の道路には、郊外では、ほとんどがバイクとの共用ですが、自転車レーンが整備されています。国内の道路状況では、自転車レーンをとることがなかなかできないので、本来的解決ではありませんが、路側帯又は路肩の幅を1.5m程度取ればかなり改善されると思います。松山市内では、松山赤十字病院から護国神社に向かう道路はいい例だと思います。一方で、都市部に隔離された自転車道を設ける例も見られますが、それよりは自転車ナビマークを設けたほうがよいと思います。
サイクリング人口を増やすための二つ目は、自転車に対する意識の改革です。
台湾では、自動車が自転車にやさしく、一部公共のバスなどを除き、幅寄せや割込みをされることはありませんでした。台湾では、サイクリング中、歩行者や自動車、対向車線を走る自転車などからの励ましの声かけが多くあり、市民全体が自転車を温かく見守ってくれているように感じました。
一方、松山市内では自転車ナビマークが設けられている道路でも、自動車がその意識をもって走行している様子はあまり見られない状況にあります。自転車ナビマークのゾーンには普段からできるだけ入らないようなこころがけも必要だと思います
ただ、かといって隔離された自転車道を設けるなど自転車を特別扱いすることには賛成ではありません。自転車は車両の一つであり、道路は一定のルールに基づいてシェアすべきものだというシェアザロードの意識を持ってもらうことのほうが大事です。
台湾では、自動車、自転車、歩行者がお互いを尊重しあう意識が浸透しているように見えましたが、結局は「思いやり」、それが一番重要なことではないかと思います。
そういう意識を醸成するためには、自転車は運転免許が要らないだけに、自転車は車両であること、左側通行であることなど自転車に関する基本的な交通安全教育を早い段階から実施し、そのうえでそれぞれが思いやりについて考えるきっかけをつくることが大事ではないかと思います。
昨年まで9日間だった行程が、今年は8日間とされ、1日の走行距離が110~140㎞に伸びたうえ、2日目からお尻の痛みが出たこともあって、何度ももう無理かなと思う毎日でした。しかし、仲間に励まされて一緒にサイクリングすることは、そのつらさを上回る楽しさでしたし、台北にゴールした時の達成感は格別でした。
このような貴重な機会を与えていただき、本当に感謝しています。
台湾一周苦闘中
台湾一周タロコ渓谷入口 台湾一周台北ゴール